お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
「あの、」

「あの…」

 

 

とにかく、どうしてお見合い相手が私なのかだけでも聞きたいと、口を開いたら藤丸社長と声が重なってしまう。

 

「どうぞ、お先に」

 

私が遠慮がちに伝えながら俯くと、藤丸社長はフッと息を漏らすように笑う声がした。

 

「今日は来てくださってありがとうございます。来てくれないかと思っていました」

 

「家族がとにかく会ってみなさいと…」

 

 

そうですか…、藤丸社長は呟くようにそう答える。

藤丸社長の低くて色気のあるバリトンボイス。

 

見た目も、仕事も、そのうえ声まで良いなんて、神様は二物を与えないなんて言うけれど、この人は二物どころか、三物以上持っていると思えてしまう。

 

 

そんな人がどうして私なんか…

 

 

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