お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
二人きりの静かな空間に心地よい雅楽のBGMが通り抜けていく。
「それで、琴理さんは…」
「えっ?」
「さっき言いかけていたことは?」
藤丸社長は、目を細めて優しく微笑む。
ビックリした。
もちろん、ちょっと上の空だったこともあるけれど、初対面の男の人にいきなり名前で呼ばれるなんて、ドキッとした。
「あの、どうして、お見合い相手は私なのでしょうか?藤丸社長のような方なら、私なんかよりももっと素敵な女性だっているでしょうし。」
藤丸社長とのお見合い話が浮上してから、ずっと気になっていたこと。
初対面の相手にこんなこと尋ねることすら失礼極まりないことは分かっている。
でも、会うのは今日で最後なんだから。
私は俯きながら、意を決して尋ねてみた。