お見合い結婚～イケメン社長と婚前同居、始めます～

「琴理ちゃん、眼鏡無い方が可愛いね」

蕎麦を啜る私を見ながら、藤丸さんはそう言って呟く。

 

湯気で眼鏡が曇ると思って、眼鏡を外した私をまじまじと見つめられると、警戒しているはずなのに、胸の鼓動が速くなるのを感じずにはいられない。

 

 

「私なんか眼鏡かけてても、かけなくても変わらないですから」

 

「じゃあ、外そうよ、眼鏡。僕はかけない琴理ちゃんの方が好きだ」

 

思わず食べるのを中断して、藤丸さんの顔を見つめてしまった。

藤丸さんは、自分の発言が照れくさかったのか、私と視線がかち合うと視線を彷徨わせ、残りの蕎麦を啜り始めた。