お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
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「やっと、別れたのね、あなた達」
土曜日、幼稚舎から大学までを一緒に過ごした親友の美夏と少し遅めのランチを食べている。
「やっぱり、不倫なんてするもんじゃないわよ。しかも、同じ会社の同じ部署内だなんて」
眉間に皺を寄せながら、苦言を呈する美夏に、私は頷きながらサラダに添えてあるウサギの形をしたニンジンをつつく。
「不倫したくてしていたんじゃなくて。相手が結婚したの」
「結婚が決まった時点できっぱりと別れるべきだったのよ」
桐谷課長とのことを知っているのは、大学卒業後に出版社で働いている美夏だけ。
私の苦し紛れの言い訳に、美夏の眉間の皺が深くなる。
「そもそも、私、課長と付き合っていたかどうかも、分からない」
「まぁ、話を聞いていると、どう考えても課長さんに遊ばれていたって感じだもんね。」
はぁぁぁぁ。
自分でも頭では分かっている事を、親友に言葉に出されてしまっては、盛大なため息しかでてこない。