お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
リビングのドアを開けて入ってきたのは、この家の主。もとい藤丸さん。
驚いたせいで、おかえりなさいって言うのも忘れてしまっていた。
「は、早かったんですね」
「たまには、ね?琴理ちゃんにも会いたいし。」
ニコリとほほ笑む藤丸さんに私はボッと火のついたように顔面が熱くなってしまう。
「あっ、あの、食べますか?藤丸さんも」
焦った私から出たのは、そんな一言。藤丸さんは途端に眩しい程の満面の笑みを浮かべたので、私の胸はキュンと高鳴った。
「いいの?」
「藤丸さんが、よければ。……あっ、でも」
ふいに藤丸さんの左手に握られたコンビニの袋が視界に入る。藤丸さんも私の視線に気づいたらしく苦笑いにも似た笑みを浮かべる。
「これは、明日でもいいや。今日は琴理ちゃんの手料理が食べたい」
またニコリとほほ笑む藤丸さんにやっぱり胸がキュンと高鳴ってしまった。