お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
「僕は自分のことは今までも自分で何でも出来ていたから、その延長のつもりだった。でももし、琴理ちゃんが家事を引き受けてくれるならありがたい。僕だって、琴理ちゃんの美味しい料理食べたいし。」
私はコクリと頷いた。
それしか出来なかった。
藤丸さんに抱きしめられて、藤丸さんの言葉を聞いて、また涙がポロポロ零れてくる。
「でも、無理はしないこと。言いたいことがあったら、何でも言って。遠慮しないで」
左耳をくすぐる藤丸さんのバリトンボイスに私はもう一度大きく頷いた。
やっぱりこの人はずるい。
藤丸さんの腕の中に居るせいで、ただでさえうるさい胸の鼓動は、自分では押さえきれない程に大きくなっていた。