その男、猛獣につき

「あっ!そうそう」

しげちゃん先生は思い出したように口を開く。

 

「榎田も言っていたけれど、俺も今日2人を見て思った。興梠と有田、お前ら、なかなかいいコンビだと思うぞ。」

 

私と興梠先生は思わずお互いの顔を見合わせてぽかんとしてしまう。

 

「だけど、恋愛は別だ。興梠、分かってるな?絶対手ぇだすなよ」

 



「しげちゃん先生、何…」

「分かっていますよ。でもしげちゃん、残念ながら、俺のタイプは年上の女」

 

私が焦って否定しようとしたけれど、その隣で何の感情も持たない声で冷たく言い放ったのは先生だった。

 

私は何も言えなくて、思わず先生の横顔を見つめてしまう。

 

先生は、私の視線に気づくとフッと冷たくて、寂しそうな笑みをこぼす。




先生自身が言った一言に、先生が一番傷ついた顔して…。

 

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