その男、猛獣につき
猛獣VS猛獣使い
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「もう、何言ったんですか?しげちゃん先生にぃ」
日曜日、本当に病院まで迎えに来てくれた敦也さんの車の助手席で私は頬を膨らませていた。
足が不自由な敦也さんのためにカスタマイズされた車は、車椅子同様ぴかぴかに整備されていて、敦也さんが大切にしている事が一目で分かる。
車内のBGMは明るく笑う敦也さんにピッタリなレゲエサウンド。
「何も言ってないって!!!主税と舞花ちゃん、なかなかいい感じだねって位で…」
「それが、余計なことです!!!」
頬を膨らませながら、私がピシャリと言うと敦也さんはガハハと大きく笑う。
「なんかまだ3週間なのに、その怒り方段々主税に似てきた」
「もう…」
そんな思ってもいなかったことを言われてしまって、私は口ごもってしまう。