その男、猛獣につき
「さぁ、到着‼」
体育館の駐車場に着くと、敦也さんは静かにエンジンを切る。
「ありがとうございました。また帰りもお願いします。」
私は運転席の敦也さんに向かって頭を下げた。
「あっ、そうそう」
敦也さんはポケットからごそごそとスマートフォンを取り出す。
「はい、舞花ちゃん笑って~」
そう言って、敦也さんは私と二人が収まるようなアングルで写真を撮った。
笑顔なんてものじゃなく、呆気にとられた顔した私に、満面の笑みの敦也さん。
「私の顔、ひどい」
敦也さんの撮った写真を確認して思わず出た一言に、敦也さんはまじまじと私と画面を見比べる。
「舞花ちゃん。先週の顔よりだいぶマシだと思うけど?」