その男、猛獣につき
「主税は?」
「はぁ?」
「主税はどう思っているんだ?」
そんなこと聞かなくても、敦也が一番知っているくせに。
俺が恨めしそうに睨むのを、意地悪そうな笑顔を浮かべてみている。
どうしても俺の口から聞きたいとでも言わんばかりの表情を見せている。
「舞花ちゃんのこと好きなんじゃねぇの?」
「まぁ、今のところ実習生だからな」
「へぇ、今のところ?じゃぁ、俺が手出してもOKってことでいいわけ?」
「そういう意味じゃない」
思わず握っていた缶ビールをテーブルに勢いよく叩きつけた。
「だから好きってことだろう?」
「ま、まぁ、そういうことだよ」
敦也ながらも苦笑いしながら発した言葉に、自分の気持ちを認めるしかない。