その男、猛獣につき

2回目の車椅子バスケの時から、有田に対する好意は自覚していた。

本当はもっともっと前から、屈託ない笑顔で見つめられると、目が離せなくなっていった。



日に日にそんな想いが大きくなると同時に、実習生とバイザーの関係や歳の差なんか色々なことが気になってきて。



そんなこと考えてるなんて、俺も歳とったのかぁ。
若い時はこんなこと考えず猪突猛進で相手に突っ込んでいっていたのにと思いを巡らしていたのに。




敦也と話して、少し頭がクリアになってきたようだ。




「実習終わったら、ちゃんと有田に伝えるよ。俺の気持ち」



「やっぱり、実習中は…」
「あくまで実習生とバイザーだから。」


ピシャリと言い切った俺に、主税らしいな、と敦也は嫌味ともほめ言葉とも取れる言葉を苦笑いしながらこぼした。

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