その男、猛獣につき
どこか吹っ切れてスッキリしたような有田の表情に、俺は動揺した。
有田の中では、俺への気持ちはもうないってことなのか?
混沌とした想いが頭を駆け巡る。
「先生?…やっぱり駄目ですか?」
黙ってしまった俺に有田は不安げな表情で俺を見据えると、まるで捨てられた子犬のような瞳で俺を見つめてくる。
「駄目じゃない、に決まってるだろう」
ぱぁっと有田の表情が晴れ渡っていく。
本当に、分かりやすい奴だ。
微笑む有田に、思わず口角が持ち上がってしまった。