その男、猛獣につき
猛獣の決心
どうしてこんなことになっちゃんたんだろう…。

 

先生に手をぐいぐい引かれて、私は少し小走りになりながら先生を斜め後ろから見上げながら考えを巡らせる。

 

 

先生は憧れの理学療法士。

興梠先生みたいな理学療法士に少しでも近づくために頑張る。

 

 

台風以来、悩みに悩んでどうにか見つけ出した気持ちの着地点。

自分にも言い聞かせる意味でも、数日前にどうにか言葉にして先生に伝えたのに…。

 

この一瞬の出来事で脆く崩れ去っていくような気がしてならない。

 

繋がれた興梠先生の大きくて暖かい、魔法の手。

その手から伝わる熱のせいで、そこだけに意識が集中してしまう。

 

 

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