その男、猛獣につき
☆★☆


「違う。違う。あぁ、ここも全然分かってない。」


実習5日目。


睡眠時間を削りに削って、どうにか作った症例のレポートを朝一番に、先生に提出した私を待っていたのは、先生からのダメ出しの嵐だった。



提出したレポートをその場で読み始めた先生は、パラパラとそのレポートを読み始めた。


この5日間、淡々とリハビリをして、確実に効果を出す興梠先生への尊敬度はますます上がっていた。


初日に見た先生の満足そうな笑顔をもう一度見たい。




《冷徹の興梠先生》の笑った姿が忘れられなくて、先生の笑顔を引き出したいと、毎日キャパオーバー気味だったけれど必死で先生の課題をこなした。



それなのに……。

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