その男、猛獣につき
「じゃあ、どんな意味ですか?」

少しだけふくれっ面をして尋ねる私に、先生は頭を撫でていた手を止めて視線をさまよわせる。

 

 

「それは、だな…」

 

「舞花ちゃんが車椅子バスケにこれからも参加すればいいって話。主税が舞花ちゃんをこれからも誘いたいんだって」

 

「おい、敦也」

言葉に詰まる先生に、敦也さんが代わりに伝えた言葉に先生は動揺を隠せないでいる。

 

そんな様子を見ながら、私も顔の表面温度が急速に高くなる。

 

黙り込んでしまった私と先生なんて素知らぬふりして敦也さんは、スマホで店を探している。

 

「じゃ、勝手に俺が店予約しておくから~」

敦也さんの明るい声が私と先生の間をすり抜けていった。

 

 

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