その男、猛獣につき
★☆★

「じゃ、俺は所用があるから、お疲れ~」

「お、お疲れ様です…」

「…おい!!敦也…」

 

 

帰りももちろん敦也さんに送ってもらった私と興梠先生。

 

私が下ろされたのは、病院、ではなく興梠先生と一緒に興梠先生のマンション。

 

明らかに嘘だと思える言い訳をして逃げるように走り去っていく敦也さんの車はどんどん小さくなっていく。

 

動揺しながらも敦也さんの車を見送っていると、はぁっと大きなため息が頭の上から降ってくる。

 

「…ったく。敦也のやつ…」

 

 

ぶつくさと不機嫌そうに呟く先生を見上げると、先生は私の視線に気付いたようで視線がぶつかる。

 

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