その男、猛獣につき
「先生からみたら、私なんておこちゃまですよね…」

ふてくされたように呟いた私に、先生は口角をあげて笑う。

 

「味覚は、って言っただろう。子供だなんて思ってない」

 

幼い子供をなだめる様な口調に私は食い下がる。

 

 

「だってこの前だって…」

 

この前のキスのときだって、先生は私を子供扱いしたじゃない。

 

「舞花…、お前を子供だとは思ったことはない」

 

反論しようとしたのに、先生がはっきりとした口調で名字じゃなくて、名前で呼んだから口をパクパクとさせるので精いっぱいだ。

 

 

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