その男、猛獣につき
「嫉妬ッてやつですか?」

 

「嫉妬して何が悪い?」

「先生も嫉妬するんですね」

 

「俺だってただの男だ。先生なんて呼ばれて、たまたま舞花のバイザーだっただけ。というか、舞花にしか嫉妬はしない。」

 

からかったつもりが、先生の言葉に思わず言葉を呑みこんでしまう。

視線を彷徨わせると、顔が火照るのが分かる。

 

 

そんな私の隣で先生は大きく息を吐く。

「実習が終わってから言おうと思っていたんだが…」

 

先生はそう前置きすると私を覗き込んで、真っすぐに見据えた。

 

ぶつかった先生の、私を見つめる視線は真剣そのもので、私は息をすることさえ忘れてしまう。

 

 

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