その男、猛獣につき
「一回しか言わないからな。よく聞いておけよ」

 

「はい…」

 

 

「有田舞花、お前が好きだ」

 

「えっ!?」

 

私はこの急展開に驚きを隠せずにいる。

 

「実習中は言わないでおこうと思っていたけど、俺もこの状況では限界だ」

 

先生はさっきまで真剣にぶつけた視線を外して、もう一度大きく息を吐く。

 

 

「あの…その…えっとぉ」

嬉しさと、驚きとそれから戸惑いと、一気に色々な感情が噴き出たように頭の中を占領して何と答えていいものなのかすら見つからないでいる。

 

 

「今すぐ答をここで聞きだすつもりはない。まだ実習が終わるまで2週間ある。それまでに答を聞かせて欲しい」

 

「明日も実習だろ。送ってく。」

 

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