その男、猛獣につき
熱を帯びた先生の瞳は、少しだけ揺れている。
そんな瞳に見つめられると、得意の蛇睨みでもないのに、私は動けなくなってしまう。
先生は見つめ合ったまま私を強く抱きしめる。
先生の胸の中で、呼吸を整えながら、先生の鼓動が速まっているのを感じる。
「先生の声、聞きたくなったら、電話してもいいですか?」
「もちろん」
頭の上から降り注ぐ声は、最高級に柔らかい。
「じゃあ、先生に会いたくなったら?」
「連絡しろ。出来るだけ早く会いに行く」