その男、猛獣につき
その場にいる全員が主税さんに注目する。
主税さんは、掘りごたつ式のテーブルの下で私の太股にそっと手を置いた。
私が思わず、主税さんを見上げると、少しだけ口角をあげて見せてくれる。
大丈夫。
そう、言ってくれているようで、少しだけ安心する。
「最終日も終わったから言いますけど、噂は本当ですよ。」
一呼吸置いて喋った主税さんの言葉にその場がどよめく。
私は俯かないとならないほどに一気に顔面が熱くなり、太股に置かれた主税さんの手を握り締める。それに気付いた主税さんは、私の手に指を絡めてくる。
竹内さんと嶋本さんは2人で大盛り上がり。それに他のスタッフまで加わって、なんだか祝福ムード。
「やっぱりね。そうだと思ったのよぉ」
「猛獣使いが誕生したのね」
「ここ最近、興梠先生が穏やかなのは、有田ちゃんのおかげだったんですね」
猛バッシングを受けると思っていたら、まるで自分のことのように喜んでくれる皆の姿をみるとなんだか照れくさい。