その男、猛獣につき

会議室から出てきた目を真っ赤にした私を見て、リハビリ科のスタッフルームがざわついたのは言うまでもない。


中でもリハビリ助手のおば様二人は、

「猛獣が暴れた」

「興梠先生~。さすがに女の子は、泣かせちゃダメよ」

と大騒ぎしたから、初めはバツが悪そうにしていた興梠先生も、しばらくすると開き直り、ものすごく不機嫌オーラを発していた。




それでも、歓迎会が始まってからは幾らか機嫌が良いみたい。

興梠先生を見ると、まだ課長と熱いリハビリ談義をしていた。



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