その男、猛獣につき
「次の練習に誘って、舞花ちゃんが参加したいって言ったらどうするんだ?」
「いうわけないだろ。レポート大量にあるんだから」
「もしもの話だよ。参加したいって言い出したら…」
敦也は俺の様子を見ながら、完全に楽しんでいるようだ。
「…連れて来るよ。俺が。」
「主税、もうそれが答えだろ」
「なっ、何言ってんだよ、実習の一環だ」
明らかに動揺してしまっている俺に、敦也は鼻で笑うととどめを刺すかのように囁いた。
「いいんじゃねーの?あと残り7週間過ぎたら、実習生でもバイザーでもないんだから」
「お、お前なぁ。今度からテーピング、口にも追加な。余計なこと喋るなよ」
口にも追加って…
敦也はそう呟いて、ガハハと笑った。