その男、猛獣につき
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「有田、遅い。」
14時をまわった病院の駐車場。
俺は、有田を待ちながら一人車内で呟いく。
「明日、車イスバスケどうする?」
「もちろん、行きます‼」
昨日の帰り際、目をキラキラさせて行きたいと言った有田に、14時ともう一度念押しした。
それなのに、一向に現れる様子はない。
「あっ‼番号知ってるんだった。」
ふと思い出して、有田に電話をかけてみる。
数回コールの後、留守電に切り替わる。
「何やってんだ、有田」
連絡のとれない有田に業を煮やし、俺は車を降りて、リハビリ室に向かった。