恋する合図
全てが終わったような気がしてトボトボと階段を下っていたら、









「お疲れ様でーす!」











と聞き覚えのある声が聞こえた。











ぱっと後ろを振り返ったら、そこには神崎くんがいた。










(え…うそ…っ)











好きでもない女の子に話しかけるなんて反則だよ。









嬉しくて死んじゃうよ。









泣きそうになる気持ちをこらえて「お疲れ様です」と返した。









私はちょうど手にチューインガムを持っていたので








「よかったら食べてください」









と言って渡した。











「わぁ!嬉しいな!ありがとうございます!
じゃあ、手出してください。」









私は言われるがまま手を出した。










その手の上に神崎くんは溢れんばかりのチョコレートを乗せた。









「え?!」







びっくりした。








「倍返し」










イタズラっぽく笑って最後に








「じゃあ、お疲れ様です」











と言って去っていってしまった。









チョコレートも私の想いも溢れ出して止まらない。














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