シークレットな関係
「じゃあ、俺が教えてやるよ」
「え?意味が分からない。からかわないで」
「本気。男慣れすればいいんじゃねえか?だから、俺が練習相手になってやるよ。期間は櫻井の派遣期間と同じ。その間に成功していたら、報酬を貰う。どうだ?」
「それは、高橋が仮の恋人になるってこと?」
「そう。仮で彼氏を演じてやるよ。櫻井よりは恋人の何たるかを知ってる。心配すんな、報酬は極貧でも払えるものにするよ。成功しなきゃ貰わない。悪い話じゃないだろ」
高橋と期間限定の恋人契約・・・。
それで男性に慣れることができて演技が上手くなるなら、悪くないかもしれない。
崖っぷちから抜けられるか、そうでないか。
これでうまくいかなかったら、潮時だと諦めるきっかけになるかもしれない。
私も覚悟を決めないと。
「どうする?」
「・・・よろしくお願いします」
「言っとくが、俺に惚れるなよ。即契約終了するからな」
「だ、誰が、高橋なんかに!大丈夫です。絶対、惚れませんから!」
「契約成立。明日からだ。手加減なしだからな。覚悟しろよ」
「望むところだわ」
高橋はニヤッと笑って自席に戻り、デザートを食べ始めた。
思わぬことになった。まさか高橋がこんなことを言い出すなんて・・・。
期待と不安を感じなから食べたケーキは、ちょっぴり甘酸っぱかった。