シークレットな関係
「あなたまさか、高橋課長の彼女だったりするの?」
みんなが探るような目を向けてくる。
やっぱり高橋が『男難の相』の元なのだと天井を仰ぎたくなる。
なるべく穏やかな派遣期間を過ごすためにも、ここは当たり障りのないように切り抜けなければ。
「違います。彼女なんて、とんでもありません。えーっと。高橋、さんとは、母校が同じなんです。八年ぶりに会ったから懐かしくなりまして、いろいろお話しただけです」
すると、課長は確か・・・とぶつぶつ言いながらぽっちゃりした子が指折り数えた。
「じゃあ、高校が同じということ?それだけ?」
三人は驚いた表情で互いに顔を見合わせている。
幼馴染みというのは、内緒にしておいたほうがよさそうだ。
「はい。クラスが一緒でした・・・それだけです」
「なんだぁ、高校の同級生か。そうだったの」
「それなら懐かしくて、しゃべるかもね」
「そっか。彼女じゃないんだ」
三人の反応の言葉に、それぞれ頷きを返す。
みんなの雰囲気が一気に柔らかくなって、私も緊張が解ける。
笑い声も出てきてホッとしていると、背の高い子が眉を下げて私の手を握った。
「櫻井さん、脅かしてごめんなさいね。イジワルしたわけじゃないの。高橋課長は一年前に入社してきた人で、ちょっと謎が多くてさ」
「ヘッドハンティングされてきた人で確かに仕事ができるんだけど、あの歳でいきなり課長。それに加えてイケメンでしょ。女子社員みんな高橋課長に興味津々なの」