シークレットな関係


そうだったんだ。あのときの相手役の人が私を・・・。

人気絶頂のタレントが急にテレビ画面から消えることがよくある。

干されたと噂が流れることも。

でもまさか自分がそんな目にあっていたなんて。


「晴香ちゃんもいいけど、私はももちゃんの方が好きよ。ほかにもそう思ってる人が沢山いると思う」


そう言って微笑む洋子さんが手を握ってくれたのと同時に、撮影スタッフの方からそろそろスタンバイお願いしまーすと声が聞こえてきた。


「ああ私戻らなくちゃ。ももちゃんがまた出てくるのを私待ってるから」

「はい。這い上がっていきます。ありがとうございます」

「その意気!絶対よ。がんばってね!」


手を振って去っていくのを見送っていると、手がぎゅっと握られた。


「櫻井、大丈夫か」

「うん」

「泣いてもいいんだぞ」

「うん、ありがと・・・」


スッと抱き寄せられて額が温かい胸に触れた瞬間、涙が溢れてきた。

事実を知ったショックとか、待ってくれてる人がいると知ったうれしさとか、みんなから隠すように包んでくれてる高橋の腕の優しさとか、全部がごちゃ混ぜになって涙が止まらない。


「仕事から遠ざけられていたのも、ツイッターもブログも禁じられていたのは、人伝に事実を知られるのを避けていたのかもな」

「・・・そう思う?」


グズグズと鼻を煤りなから見上げると、高橋はフッと笑った。


「不細工すぎ」

「え、や、そうだよね」


急に我に返り、慌ててバッグからテッシュを出して涙を拭く。

きっと、マスカラやアイメイクがとんでもないことになっているはずだ。


「どうする。まだ遊ぶか?俺はすっぴんで目が腫れた不細工櫻井でも全然構わないぜ」

「・・・遊ぶ。まだサル山見てないもの。フラミンゴも見たいし」


高橋は優しいのかイジワルなのか、よく分からない。

けど、これだけは分かる。

私は高橋のことが、好き──

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