シークレットな関係
「俺に敵うと思うなよ」
くるんと仰向けにされて、頭が蕩けるようなキスをされて抗う力が奪われる。
彼の手がパジャマの中に忍び込んできたけれど、もう振り払うことができない。
効果は薄そうだが、なんとか抵抗を試みてみる。
「・・・ん、やっ、待って・・・和哉、もう起きなくちゃ・・・」
「駄目。発生練習なら俺でやれ。運動も十分にできるだろ」
そう言う彼の瞳が、獲物を捕らえた豹のように輝いている。
彼が言うところの運動も発声練習もまったく違うと言いたいが、こうなったらもう逃げられない。
あとはただただ甘い声を出し、彼の指と唇から与えられる喜びに応えるのみになる。
心も体も満たされて夢中でしがみつくと、彼も荒い息を吐きながら私の名前を呼んだ。
「桃花はもう少し寝てろ。朝は適当に食っていくからいいぞ」
ぐったりとする私をベッドに横たわらせ、顔にかかった髪を指先で梳いて整えてくれる。
優しい指使いが心地よく、また眠ってしまいそうになる。
でも、抱かれたおかげで時間がよくわからなくなったが、もう六時前のはず。
間もなく彼が出掛けてしまう。
二人の関係は秘密だから、彼はいつも人目につきにくい時間帯に出ていくのだ。