風流西宝(短篇)
マンゴープリン
とあるコンビニにてマンゴープリンを二つ買い、近くの公園へと走る。
暑い夏。もうカップから水滴が落ちている。
点滅している横断歩道を渡り終え、彼女の座る、赤いペンキの剥げかけたいい風合いのベンチへ駆け寄る。
「あ、早かったね」
思わず立ち上がった彼女の、白い涼しげなワンピースが揺れる。
「そうかな」
汗を拭いながら言う僕に、ふふ、と君は柔らかく微笑む。プリンを渡すと、また「ありがとう」と笑う君。
ベンチに二人で腰かけ、プラスチックのスプーンをほどよく黄色いプリンに入れる。
滑らな食感。
すると隣で、うーんと声が上がる。
「おいしいね」
そう言いながら僕に微笑む君の笑顔は、このマンゴープリンより甘い。
毎年楽しみな夏休み。
おわり。