正しい恋愛処方箋(改訂版)

「由里の事あってから心配してたけど…大丈夫そうだな。」

「っ……あぁ、もう吹っ切れたさ。」


真実と嘘が半分、アイツ以上はいないと思っていた自分。
それまで依存した女以上になれるのか、

この目で確かめる。









「―………見事にハマったな」


昔を思い出し、口許が緩む。
いましがたまでいた目に入れても痛くないほどに愛する奏多。

今までどれだけ女と付き合おうが必ず線を引いていた。

けれど、奏多にはそれをしなかった。いや、できなかったのかもしれない。


微かに残る、フレグランスでもトワレでもない甘い香りは彼女自身の香りだろうか。

未だにこの腕で抱いているような錯覚すら覚え、身体が無意識に熱くなる。


女に線を引いた恋愛はただ、女を抱くためのもの。
ココロは繋がりたいとは思わなかった。

ただ、自分の欲求を満たす。
ただ、自分の欲望のはけ口。

そう考える、それが俺の恋愛。


だが、今はどうだろう。

なにもかもが初めてだと言う彼女を抱きたい、そうは思えど彼女の気持ちが落ち着くまでは触れるのは我慢する。そう思える。


あれほど、愛していたと思う五年前の女にすらこんな感情はなかったのだから。

奏多は、現にある、たった一つの自分の真実なのかもしれない。


ならば、全力で彼女だけを守ろうと思う。
ただ、彼女が無垢な笑顔でいられるように、ただただ、全力で守ろう。