正しい恋愛処方箋(改訂版)



泣き腫らした瞼がヒリヒリしてイタかった。それはまるで私の心みたい、なんて思えた。


「…あ、柏木?オレオレ。」


英部長、貴方立派なオレオレ詐欺とかできそうですね。携帯同士でも一応名乗るのが礼儀だろう、なんて呑気に考えられるようになっただけ復活したのかもしれない。


「は?ウサギちゃんなら一緒にいるけど……え、六階の給湯室……って、おーい…」


困惑したままの英部長に首を傾げれば苦笑が返事で。


「此処から動くな、って怒鳴られたけど…本当に何あったの?」


相当困惑してるのか、眉がハの字になる英部長は初めて見る。
円香さんは私が帰らなかった事に怒ってる?だとしたら、戻って謝らなきゃ…


「あ、あの…英部長、私もど」

「葵さん!!大丈夫?!」


ります、とつなげる前に眉を極限まで釣り上げた般若…みたいな円香さんに遮られて、思わず後ずさってしまったのは致し方ない事だって思いたい。

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