二人の翼~君は一人でも飛べる~
引っ越しの作業が終わってしまう前に行かないと。

ママの目を盗んで私は家の外に出た。

行き場所は、私の隣の家。

インターホンまで必死に手を伸ばしてボタンを押す。

よかった、届いた。

安心とともに緊張が走った。

『あら、優奈ちゃん!どうしたの?』

光輝くんのママだ。

『こうきくんいますか?』

『光輝?ちょっとまってね』

数分もしないうちに光輝くんが出てきた。

光輝くんは私を見つけるととっさに笑顔になってくれた。

私は、それは優しさだ、と思った。

『どうしたの?優奈ちゃん』

『あのね、わたし…わたし…』

光輝くんは私の頭に手をのせる。

『ゆっくりでいいよ』

そんな優しさに涙が出そうになった。

『あのね、おひっこしするの。わたし』

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