二人の翼~君は一人でも飛べる~
『え?ゆうなちゃんいなくなっちゃうの?』

あたりがすっかり暗くなっていることに気づき、焦りの気持ちを言葉にぶつけた。

『うん』

少しの沈黙が流れた後、光輝くんは私の手を引っ張った。

『ど、どうしたの?』

『見せたいものがあるんだ』

そういって、10分ほどでついた場所は、星空が目立つ場所だった。

『おれ、ゆうなちゃんだいすきだから、これあげる』

そういって手渡されたのは、きれいな紫色の花だった。

『スターチスっていうお花だよ』

『ありがとう。とってもきれいだね』

私は、そのお花を大切にぽっけにしまった。

『優奈!どこ行ってたの?心配したわよ』

家に帰るとママが目を真っ赤に腫らして私をだっこした。

『ごめんね』

お花のことばっかり考えちゃって顔がにやけちゃう。

『どうしたの?楽しそうじゃない?』

『うんん、何でもない!』

『光輝くんに何かもらったの?』

『えへっ。ばれた?』

『さっきも、光輝くんのところに行ってたのね?』

小さくうなずくと、ママは私の頭を撫でた。

『もう、寝よっか』

明日、お引越しだ。

悲しい気持ちと好奇心でたまらなかった。
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