桜色





「話なら私がする…
だから美麗ちゃんにその話を聞くのは辞めて…
彼女が1番胸を痛めてる」















自分の膝から彼女を抱き上げ歩きだす彼にはやっぱり敵わない事ばかりで腹がたつ















「で、
何が聞きたいの…
天堂さんのこと?」



冷たい目をした彼がこちらを見た










「ねえ…
聞いてる?」



苦手だ…
誰かに似てる
話し方
この表情も








「でもさなんで知りたいの
顔も覚えてないでしょ…
それに君のお母さんと天堂さんは別れてたし









16年経っていきなり過去のことを聞くなんて不自然じゃない」








「まあいいや…
天堂さんにはお世話になったし
教えてあげる…









多分私が唯一の生き残りだよ…
あの日あそこにいた」














そう言うと彼は深く息を吸って話し出した





-16年前
誕生 mirei














-manato





病院から連絡が入っていた
私の第一子が生まれそうだと
行きたい気持ちを抑え部下達に指示を出す







なんで…
こんな日に












「俊平…」



近くにいた契約者に話しかける
「病院行ってきてくんない…」












静かに立ち上がった彼にタグを渡す
「産まれたら連絡してくれ…」











歩き出した彼を見送り慌ただしく動く黒い男達を振り返った






「聞け…」







-haruka














「ここで気づいてればあんなことに…」








彼の口からそんな事ばが漏れた














「まなとさん…
美麗ちゃんのお父さんはこういった…」







-manato






彼らがこちらを見る






「今から呼ばれるもの
該当するものは今すぐ家へ帰れ…










家庭があるもの






まだ若い者






子供がいるもの






今回の抗争に勝ち目がないと思うもの







それから

天堂,総丘,








由奈さん

征一

玲二


今すぐこの家から出て行ってくれ」




にこりと笑ってそう告げた
戸惑う彼等にもう一度だけ言う











「湊
お前誰の命だと思ってる?

















早く行け…っ」





彼の肩を押す
尻餅をついた彼を振り返らず奥の部屋へ戻った















はあ…
息を吐く




「疲れる…」















「おいバカ」


「なんでいんの?」








「愛斗が
吸うなんて相当だな」










「なんでいんのって聞いてるんだけど」












「漣一の力を持って
最弱の心の男がさ
どんな顔してんのかなって思って」







「それだけ?
じゃあ早くどっか行ってよ」









「これ…
頼まれてたやつ」












「あ?」










くしゃくしゃになった半紙













「ぁあ遅かったな…」










「いきなり言うからだ
バカ…」







「早く見せろ」




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