桜色
「子供の姿を見てからにしろよ」
彼は照れ臭そうに笑った
「分かったから
早く帰れ…」
「そんな顔したって俺は帰らねえ…
俺には帰る場所がないしな
お前がよく知ってるだろ」
「息子がいるだろ…」
「春妃が連れてった
お前に救われた命だ
お前のために使うさ」
笑った彼に過去が脳裏を掠めた
血だらけな自分の手
真っ赤に染まった
ふう
「どうなっても知らねえからな」
「覚悟なんてずーっと前からできてるさ」
前を見た彼に微笑むと1着の和服に手をかけた
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