桜色
濡れた紙に乗せられていた字が霞んでいる
はっとして握っていた手を離した
今日もまた青い男の手でベットに運ばれる
「はるか…」
声が上ずる
「ごめんね…」
そう言うと彼は
どこか
寂しげで
悲しげに
笑みを作った
-reizi
黒い物体を磨いていた
ブロ…
あ、
帰って来た
窓の外を見る
黒い車
中谷さんのだ
ガチャ
扉が開く
「中谷さん」
扉とこちらの部屋の境界線
彼は立っていた
「玲二…
手合わせを」
固くこわばった表情
何も悟らせないように濁った瞳
忠誠を頑なに守った彼の瞳
濁るのは初めて見た
首元輝くタグ
それが赤く輝いていた
彼の心を代弁してるのかのように
「いいよ」
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