桜色
非日常
-haruka
あれから桜色の彼女は何度起きた…
3いや…
もう数十回
めをつむり夢の世界に逃げ込んだ後でも苦しげに顔を歪ませている
寄った皺を二本の指でそっと伸ばす
太陽はもう
南に上っていた
プルルルルプルルルル
突然鳴ったコール音
リビングに取り付けられたそれはずっとやまない
けれども男は微動だにしなかった
視線の先にあるのは白い布がかけられた大きなキャンバス
「は、るか…」
ゆっくりと体を起こした彼女にすぐに視線を置き換える
「お腹へった…」
久しぶりに聞く彼女の普通な声に安堵の息を吐く
「何食べる?」
慣れて来た手つきで体温計をケースから出しわたした
「私作る…」
「え…」
「えってなに…」
柔らかく笑った彼女
美麗が何かを作っているところって…
見た事ないけど…
「いや…」
「できるんだよ
私
餃子!
つくれるの!」
自信満々に言う彼女の体温を知らせる合図が鳴った
-38.9°c-
は、
思わず二度見をする
「美麗…」
「ん〜」
少しとろんとした瞳
ひたいに手をかざす
熱い
疲れただけでこんなに熱出るか…
「具合わるい?」
彼女を膝の上にのせ目を合わせる
「頭ががんがんする…」
「あとは?」
彼女は首を振った
高熱…
気付いた時には家を飛び出し走っていた
彼女を毛布に包んで
ここから…
近い病院って……
どこだ