桜色
-haruka
「おはよ…」
「おはよう」
彼女を振り返った
「やっと下がったね…」
「はるか…」
泣きそうな表情の彼女
「どこにも行かないで…」
「うん…」
『Happy New Year!!!!』
なんとも空気が読めないテレビだ
年が明けた
今年はどんな一年になるのだろうか
2人の男女はただ明るい声を流す箱をのぞいた
-reizi
ゴーン
最後の鐘がなった
年明けだ……
先程書いた名前を
指でなぞった
名前を
紅い月明かりが
てらしていた
「…ka……u」
-minato
大きな日本家屋
竹林の奥にある石
初日が東の空を明るく染めていく
「今は眠れ…
後も眠れ……
眠り続けろ……」
白い花を置いた
彼の背中がキラキラと光っていた
-mirei
「はるか…」
ベッドから起き上がる
「おふろ入るね」
「ぁあ」
彼はまだベットの中
クローゼットから服を出し
浴室へと向かった
髪のびた…
腰まで伸びた髪
黒が見え隠れしていた
気持ち悪い…
黒はもう…
いやなんだ
ガチャ
扉が開き冷たい空気が浴室に入る
「え…」
「美麗…」
「え、え……」
「なんで…
-???
体が動かなかった
明るい光が点在する世界
その中にいるのはいつだって笑顔の彼等たち
だが近づくと消えてしまう私の幻想
妄想
せめてもの願い
血に濡れた
真紅に染まった
背中が近付いてくる
あれは…