桜色








明るく笑う声
チャンネルを回すがどの局も新春番組を流している
あかいボタンを一度押した
















ぷつん





扉の中
卵2つとハムを出す



お餅なんて買ってない…














卵を解いてフライパンの上に落とした













「いただきます」


















「美麗っ…」







扉を勢いよく開けて入ってきた彼はとても慌てていた
「どうしたの…?」








「いなくなってたから…」
















「いるよ私は」








「そうだね」















少し固くなった卵
2人で箸をつける
パンの焼けた香ばしい香り
バターの溶けた香り













「おいしい」




笑顔を向けた彼に私もつられた
「よかった」














食べ終わった遥が部屋へと向かった
紙を開く音が聞こえる
私は追いかけず部屋にとどまり近くにあったレシピ本を開いた













たくさんの付箋が貼られボロボロになった本
これ、
誰の字?














中谷の字ではない
ママのものでもない









ましてやパパの字でもないその字は私の記憶の中にただ1つ
一致するものがあった















-kakeru







「漣に会った。」




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