恋色風船
律子は、短大時代の同級生だ。

律子、という物堅い名に似合わず、華やかな顔立ちと派手好きな性質の持ち主だ。


麻衣は卒業後、就職したが、律子は気ままな家事手伝い「カジテツ」の身を決めこんでいる。

裕福に育ったゆえの屈託のなさと、友情の篤さは、こうした秘密めいたおしゃべりには、ぴったりの相手だ。



「ねえ、悦かった?」

「んー、テクニックはまあまあかな。
けどやっぱ、ムード作りとか、うまかった」


顔をしかめたのは、ゆるみそうになる口元をごまかすためだ。
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