恋色風船
第三章



受付嬢やってると、目が肥えちゃうんです。


前菜の鴨肉のゼリーよせをひときれ口にして、そう切り出す。


「そうだろうねぇ」
うなづく仕草も、声音も、表情も、伊藤さんはどこまでも温和だ。


「短大生のときは、年上で社会人のカレが、落ちついてて頼りになって、大人に見えたんですけど・・・」

いったん言葉を切る。
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