恋色風船
男としてはもう、「降りて」いる。


ときどき会って、美味しいものをごちそうしてくれて、話を聞いてもらって、相談にのってくれる、人生経験豊富な「おじさま」が伊藤さんだ。


そうして伊藤さんは、律子と麻衣という若く美しい女性と、華やいだひとときを過ごせる、というわけだ。


伊藤さんを紹介してくれたのも、もちろん律子だ。
お稽古ごとと社交に明け暮れている律子は、麻衣とは比べものにならないくらい、人脈が広い。
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