手を伸ばせば、きっと。
「馬乗りになるから、重かったら言えよ?」
「う、うん…っ」
男子に触れられたことなんて、一度もなかった。
でも、悠都は……"兄妹"なんだから…。
スッ…
悠都が私に馬乗りになって。
少し、重たい。
サッー…
悠都の手が、私の背中を優しく押していく。
ビクッ
「そんな力入れんなって、リラックス!」
「できないーっ」
「力んでると分かんねーから!」
「うーーー!」
肩甲骨の、すぐ横の部分を優しく押されただけなのに
「いったぁ!!」
「あー、ここか。じゃあここは?」
「痛い痛い!!!」
「ここ」
「…いっっ!!」
「ガタガタじゃん!」
悠都は面白そうに私の様子を伺っている。
すると、悠都の手は私の腰に下がってきて。
スッ…
ビクッ
「ゃ…っ!」
「……!」
その手は、いきなり止まった。
「もう、この辺で止めとくな」
「…う、うん、ありがとう。」
「押し掛けてごめんな」
「大丈夫だよ。」
「じゃ、おやすみ。」
「おやすみ。」
ガチャッ
さっきのあの感覚、何だろう…。
初めて触れられたときと、手が腰に触れたとき。
身体が少しだけ跳ねた。
私、すごく………ドキドキしてた…。