手を伸ばせば、きっと。
「悠都は彼女いない時期なさそうだよねー!」
わざと嫌味臭く言うと、悠都は反論してきた。
「そんなことねーから!!サッカー部は恋愛禁止だから、律儀に守ってんだぞ、俺」
「え。」
今度は私が信じられないというような顔をした。
「顧問曰く、苦しくなったときに、練習よりも恋愛に逃げるやつが出てくるらしい」
「あー!」
たしかに、それはあるかも。
「俺は今、サッカーが大事だから、高校では彼女いたことないよ」
「偉いんだね!」
悠都の顔を覗きこむと、照れたような表情で。
「引退したら彼女つくる!」
「すぐできると思うよ。」
「だろ?」
「ふふっ、うん。」
「……俺は華純に彼氏がいないってのが驚きだけど」
「できないできない。可愛いげないもん」
「あ、なあ……」
「…ん?」
気まずそうに、視線を逸らされて。
「ずっと…言おうと思ってたんだけど…」
「うん」
「少し…見えてる……」
悠都の視線が私の胸元に向かったので、私も自分の胸元を見ると
「…あっ!」
ワンピースの隙間から、谷間が少し見えていた。
「ご、ご、ごめん!!」
「い、いや……」
見たことがないほどに真っ赤な顔の悠都。耳まで赤くて。
「き、着替える!!」
サッと立ち上がって、自分の部屋に走った。