水男(ミズオ)
必死で子供を探す
親の叫びは


朝の登校風景に
陰鬱な影を落とす。



どんよりとした空の下
苦しみのどん底に落とされた


親の叫びが響き渡る。


でもここに居る人は
誰も女の子を救うことが出来ない。


子を無くした
親の涙を止めることが出来ない。


自分が殺されるよりもつらい
地獄に落とされた


親たちは
まだあきらめずに


声をあげる。


「だれか手がかりをください!
お願いします」


とうとう母親が泣き崩れて
地面に座り込んでしまった。


父親は母親を助けつつ
まだ声を上げる。


いや


声を上げるしか
他に子供を助ける方法が


見つからないのだ。


父親は藁をもつかむ気持ちで
登校する小学生たち

1人1人に聞いていく。


「ねえ、何か知ってないかい?」


父親はそう言って小学生たちに
聞いて回るが


誰も首を振るだけ。




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