水男（ミズオ）

その男は日に焼けた精悍な表情。


短く刈り込まれたヘアスタイル。
鋭い眼光の奥底には


燃えるような強靭な意思が
感じ取られる。


「刑事さんですよね？


こんな所に来るヒマがあるのなら
早く娘を探してください！」



そう叫ぶ父親。


しかし刑事らしき男は
お辞儀を辞めようとしない。


深々と頭を下げながら
言葉を続ける。


「実は重要な手がかりが見つかりまして
そのご報告に伺った次第です」


刑事はお辞儀をした頭を
ゆっくりと上げて


父親を見つめた。


「警部！平野警部！」


部下たちが駆けつけてきたのを
平野警部は手で制した。


平野警部はもう一度頭を下げ
凛とした声で言葉を続けた。



「このたびは私共警察の
不手際で


多大なご迷惑をおかけいたしまして
まことに申し訳ありません」



「何しに来たんですか？


あんたに謝ってもらっても
困るんだよ。


早くうちの娘を
探してください」



「先ほどあなたの娘さんを
発見致しました」