水男（ミズオ）

「どうなるって……わかりません」

そう言って
中村は首をひねる。

平野は話を続けていく。


「我々凡人にとってまさに神のような
存在となるでしょう。


自分の天才的な能力を
活用する力を持った人は


神をも超える存在。


現実にもそう言う人は
まれにいるんです。


相対性理論を発表した
天才的な数学者や


優れた映画を何本も撮った
映画監督。


日本の天才的な
お笑い芸人なども


サヴァンではないかと
言われているのです」


そう言った平野は部屋の窓を
開け放った。


夏の猛烈な熱気が入り込んできて
エアコンの効いた快適な部屋を


浸食していく。


平野は暑い空気が部屋に入り込むのも
かまわず


しばらく窓を開けて空を眺めていた。


青い空。
白い雲。


平野はつぶやく様に
言った。


「推測に過ぎないのですが


ボクはサヴァンではないかと
疑っています」