水男(ミズオ)
窓の外はもうセミがうるさく泣き始めている。


平野は目をつぶった。


黙考をする時
目をつぶるのが平野の癖なのだ。


事件の糸口らしきものは見つけた。


思っていた通り


失踪した女性は
カードを売る店と


何らかのつながりがあった。


そしてその店は
ボクと深くかかわりがある。


「ボクはすぐそばにいる……」


平野はそうつぶやいた。

長年追い求めたボクが
近くにいると思うと


平野の胸は高鳴った。


しかし


こちらの動きをことごとく察知され
痛い目を見てきた


今までの失敗は
もう繰り返したくない。



「少しやり方を変えてみましょうか……」


平野はまたつぶやいた。







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