水男(ミズオ)
あのしょぼくれた刑事なら
平野と言う刑事なら


何とかしてくれるかもしれないと言う
気持ちが


頭の中に浮かんだ高山は


会社から外にとびだして
走り出した。


あの不思議なことばかり言う平野と言う男は
もしかしたら名刑事かもしれない。


平野だったらもしかしたら
俊介をつかめてくれるかもしれない。


高山の心の中には
そんな根拠のない希望が

湧き上がっていた。


この前もらった平野の名刺をじっと見つめる
高山。


俺は何でもする。


亜美を助けるためだったら何でもする。


その思いを胸に
高山は走り去っていった。


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